鳥取市のお客様よりご依頼いただき、天神様(菅原道真)の掛軸を修復いたしました。長年のご使用により、表具はかなり傷んでおり、特に上部は裂ける寸前の状態でした。大切な掛軸を未来へ受け継ぎたいというお客様の思いを受け、修復に取り組みました。
修復工程
1. 表具の剥がしと本紙確認
既存の表具を丁寧に剥がし、本紙のみの状態にして破れやシミを確認しました。
2. 本紙の洗浄とシミ抜き
伝統技法でやさしく洗い、長年の汚れを除去。シミ抜きも施し、可能な限り美しさを取り戻しました。
3. 折れ直しと裏打ち
本紙の折れは裏打ちしながら伸ばしました。
4. 表具仕立てと桐箱手配
お客様と相談し、天神様にふさわしい裂地を選定して表具を新調。寸法に合う桐箱を手配し、無事にお納めしました。
天神様(菅原道真)の掛軸について
天神様は学問の神様として知られ、お子さまやお孫さまの学業成就を願う掛軸として年中お飾りいただけます。また、天神様は梅を愛されたことで有名で、今回の掛軸にも梅の枝が描かれていました。梅の掛軸は新年後の季節掛けとしても親しまれ、1月中旬から3月初旬が飾り時期としておすすめです。ただし、地域の風習により異なり、北陸地方では年末から1月末まで飾ることもあります。
「東風吹かば 匂ひおこせよ梅の花 あるじなしとて 春な忘れそ」
そろそろ京阪神でも梅の便りが聞こえそうです。忙しい日々ですが、天満宮へ梅を愛でに行きたくなる、心惹かれる作品との出会いでした。
掛軸の修理はサンコー商事へ
サンコー商事では掛軸や額などの美術品修理を承っております。
掛軸の表具替え・修理:税込39,800円~(状態や素材により価格が異なります)
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